ん距離が広が
この声を人が聞いたら、誰しも『何事!?』と驚いて顔をあげるだろう。とてつもない声をあげていたのは一人の青年だった。高校生くら泡菜 食譜いだろうか、真っ青な顔をして廊下をかけている。
幽霊でも出たか……と思いきや、違った。
「待って」
青年が出した悲鳴に続き、小さな声で別の声が聞こえる。
もちろんこちらの声の主は彼ではない。彼の後ろにいた人だった。暗くて姿はよく確認できないが、確かに廊下を走る彼を追いかけている。青年はその人から逃げていた。
「たすけてくれええええ! 誰か、あああ殺されるうううウゥ!」
そして、何故逃げているのか。その答えは、追っている人が手に持っているものにあった。
包丁。普通なら野菜や刃物を平和に刻むべき道具を手に持ち、なまはげの如く振りかざして追っている。
しかも持っているのじゃ一本ではない。いや、確かに手には一本しか持っていないが、腰にたくさんつけている。まるでタガーナイフが何かのように袋に入れてぶらさげており、用があれば次々抜いて刺せるようになっていた。
「いやあああああああ!」
声をあげると、逃げる体力をロスするだろう。しかし恐怖のあまり叫び続け、彼は必死に廊下を走る。
追いかけている人はというと、こっ泡菜 食譜ちはこっちで必死に追っている。だがスピードが遅く、逃げる彼にはとても追いつかない。見ている間にだんだっていって、もう少しで彼は逃げ切れそうだった。
あと少し。あと少しで、彼は逃げ切れる。
だがその刹那、追っ手は手に持っていた包丁を投げた。腕はおそろしく的確で、それは回転したりせず実にまっすぐ青年に飛んだ。
「ひいッ!」
とっさに右によけた彼。と、さっきまでいたところに包丁がグサリと刺さる。硬い床に突き刺さるのを見る限り、相当な威力であるらしい。
的中したら十中八九、彼は死ぬ。
一本、二本、三本、四本。料理のため泡菜 食譜の道具を間違った使い方で扱いつつ、追っ手はひたすらそれを投げつける。
腕は良い。しかし彼は右に左に動いて避けていた。おまけに二人の距離は広がる一方である。
「はぁ、はぁ………」
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