も彼だった


 この会社の基本的な仕事をまとめて言うと、夢を見ている人から夢を分けてもらい、それを、夢を見たいと願う人の所へ運ぶpretty renew 雅蘭というものだ。
 また、社員には、夢を分けてもらいに行くコピー班、その夢を楽しい夢、怖い夢などに仕分ける仕分け班、分けられた夢に出てくる人などをチェック?編集し、個人情報を守る編集班、それを届ける配達班、そして、客の夢に関する要望を受ける応対班がある。

 北郷伸羅(きたさとしんら)は二十一歳で、この会社に入社して二年目を迎えた。
 伸羅は高校時代にその会社に憧れるようになった。高校卒業後、一年制の『夢』に関する専門学校に通った彼は、二十歳でBAKUに入社することができた。
 彼が所属するコピー班は、夜中の勤務が基本となる。今日も午後十時半に家を出て、十五分ほどかけて、十一時前に会企業培訓社に到着した。
「やあ、北郷君」
「こんばんは」
推関宏忠(すいせきひろただ)だった。彼はこの会社の大ベテランで、今年で五十五歳になる。そして、伸羅のいる第四コピー班の班長を務めている。温厚な性格で、二十三人いる班員たちからの信頼も厚い。右も左も分からなかった伸羅に、一つ一つ丁寧に教えてくれたの。
「そうだ、君は研修室に行って」
「えっ、あ、はい」
「君たちの働きが評価されたみたいで、まだ慣れていない新人に教えてやってほしいって要望が上から来てね」 
「!」
「そんなわけで、頼んだよ」
「はいっ!」
「笠石さんにも私から言っておくからpretty renew 雅蘭先に行って準備してるといいよ」
「分かりました!」
自分の働きが評価されるなど、初めてのことだ。嬉しくて仕方がなかった。
「まあ、湧奈のおかげかな……」
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