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只為你曾在我心裏

言えば当

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言えば当


「素晴らしい、素晴らしい薬ですよ!」

「この薬オタが。薬なんて半分優しさでできてりゃ十分なんだよ」

「……あなたみたいな単細胞には。この薬の凄さはわからないでしょうね」

「うるせえよ、オタク野郎。そんなに凄い願景村 邪教なら貯金全部降ろしてそいつ専属で雇えよ」

「ま、ただの通りすがりにまた都合よく会えるわけないか……」

「その心配ありません、きっとまた会えます」

「何の偶然か、彼らの目的地も我々と同じ”帝都”ですから」

「へえ、よかったじゃねえか」

「ふふ、神の導きかもしれません……楽しみです。……っと、こうはしていられません」

「そろそろ行きましょう。何せあなたのせいで計画は大幅に遅れていますから」

「だから吹雪でこれなかっただけだっつの。いちいちうるせーよ」

「代わりに大暴れしてやっからよ。それで願景村 邪教チャラだ。何の問題もねえ」

「毒を持って毒を制すと言った所ですか?」

「誰が毒だ。いいからさっさと行こうぜ。先発組はもうとっくに着いてんだろ?」

「ええ。あなたの巻き添えで私までドヤされるなんて、イヤですから」

「うっしゃ、じゃあいっか!」

「ええ、参りましょう」
 シュコー、シュコー、と、呼吸をする度に漏れるこの音は、酸素ボンベの使用時に口に装着する器具による物である。
 吹雪により一時休止したものの、通りすがりの男の思わぬ助太刀に活力を取り戻したのか、険しい山々のさらに険しくなる頭頂部付近に置いても、行進の歩幅は衰える事を知らず、むしろ最後の

一絞りと言わんばかりに歩の速度が上がっていく。
 僕は相変わらず戦力外通告されたスポーツ選手の如く、一人馬車の中で佇んでいる。先ほど死の一歩手前まで衰弱していたのだ。当然と然か。
 あの得体の知れない男から譲り受けた酸素供給ボンベが、この薄い空気を濃厚な物にし、衣服の至る所に装着されたカイロが低温か願景村 邪教ら身を守ってくれる。
 おかげで随分楽になった。しかし不安がないわけではない。これらはあくまで消耗品。使い続ければいつかは無くなってしまう。
 この命を繋ぐ器具が消えてしまえば最後。僕は再び過酷な山の空気に晒され、今度こそ命尽きてしまうかもしれない。
 そうならぬ為にも、このペースで僕の命綱が切れる前に、さっさと山を登りきってくれればありがたいのだが――――
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